怪談ではないので、まあ怖い話って事で その2

友人のT君の話。


まだ私が子供頃、流行りといえば



ビックリマンチョコ

懐かしいと思う方も、そんなもん知らんと思う方もいらっしゃるでしょうが、とにかくこのビックリマンチョコのおまけについてくるシールを集めるのが流行ってました。

最近だと妖怪ウォッチのメダル集めみたいなものだと思っていただければ・・・・・

このビックリマンチョコがあったから、我々子供は箱買いという言葉を覚え、おまけのためにチョコを捨てるという本末転倒なことをする奴がいると知り、


学校から指導が入ったというのは懐かしい思い出だったりします。


そんな子供頃、T君がビックリマンチョコに熱を入れていたからこそ遭遇した怖い話。


まあ私も又聞きなんですが、何が起こったのか容易に想像出来ることだったりします・・・・


T君は3人兄弟の末っ子で、4歳上&2歳上の兄ちゃんがいました。



彼が小学校2年生の頃、ビックリマンの最盛期となった訳ですが、ここの兄弟の偉かったところは、シールは3人の共有物(そりゃー3人とも親からもらった小遣いでチョコ買ってるからね)で、かぶったもの以外の交換はご法度・3人でできるだけ集めるっという手法を取って、仲良くシールを集めていたそうです。


こういうのって兄弟ケンカするからね。



本来、子供一人が買える量なんてたかが知れてますが、それが3人で集めている訳ですから、他の子供達よりも圧倒的に集まるスピードが速い。


しばらくすると、近所の子供達の中では最もシールを持っている子供となり、T君はクラスのカースト制度の中では上位に位置する形となりました。



ただT君兄弟はみんなと違う手法で集めていたので、ちょっと優越感に浸りながらも、別にそれで威張る訳でもなく、「兄ちゃん達と集めてるからね」っと言って仲良く友達の輪の中で遊んでいたそうです。


そんなある日・・・・・


兄弟3人揃って近所の子供達と一緒にサッカーやって、ビックリマン見せ合いながら、暗くなって家に帰る時間帯になった頃、一人の見も知らずの怪しい大人から話しかけられます。

悪魔・天使・お守りのシールは1枚100円・ヘッドは1枚1000円で売ってくれないか?っと持ちかけられたそうです。


我々の子供頃は、当然ネットなんてありません。

大型のリサイクルショップもどこにでもあるというわけでもありません。

人の収集物に値段が付くなんて、我々が子供の頃なんて想像も付きません。想像が付かないというより、それを知る環境がありません。



そういうこともあってか、一番上の兄ちゃんは「これはみんなで集めたものだから、売れない」と断ります。


(このT君の一番上のお兄さんという人は、大人になった今でも大変出来た人のようで、T君は「一番上のアニキだけは裏切れん」と言って慕っているようです。)


T君と真ん中の兄ちゃんは状況がよく読めていなかったそうですが、シールが無くなってしまう事が嫌で、上の兄ちゃんに賛同します。



「残念だなあ」


っとその怪しい大人は口惜しそうにその場を去りました。




帰ってから、兄弟はそのことを母親に報告します。



母親としては、ビックリマンのことをはよくわからないけど、まあ兄弟協力して仲良くやっていることだから別に悪いことをしている訳ではないしっと思って兄弟を見守っていたそうですが、

さすがにそれに現金価値がついてしまうとなると、何かに巻き込まれてもいけないっと思い、しばらくビックリマン禁止令を出します。


3人は少し悲しかったのですが、3人で集めたシールは膨大な数であり、大方色々揃っていた&「ヤマト爆神はもうあるから」っと言う理由で、次のシリーズが出るまでビックリマンシールを家から持ち出すのを止めました。



第13弾ヘッド・ホログラムシールのヤマト爆神。
これが中々出なくてねえ・・・・・2枚とも持っている奴は私の周りにはいませんでした。
T君兄弟は2枚とも持っていたと言う(汗


そうして数日経った頃、またあの怪しい大人が現れました。

でもそれはT君兄弟の前ではなく、T君の友人のK君の前に現れたそうです。


なんでも

あの兄弟が持っているシールを何枚か盗ってきてくれたら1000円あげる


と言う話を持ちかけられたそうで、そんなことできんと言って断ったとT君に報告。

子供心に何かがおかしいと思ったT君は、お兄さん達に相談→そこから親に相談→当然学校の先生に話が行くと言う所から


当学校ではビックリマン禁止

という事態に陥ったそうです。


ただ、どう話に尾ひれがついたのか、「金を使って泥棒まがいのことまでしてシールを集めてる大人がいる」という話が、学校が発表した頃には


大人が子供を焚きつけて犯罪まがいの事をしている

それなりに大きな金が動いているようだ


ビックリマンシールの闇市場がある!


ということになり、


そうなってはおちおち子供もビックリマンなんてやってられません。

以後、(そんな闇市場なんてなかったと思うけど)T君の地域のビックリマン熱は急速に冷めていきました。


さてさて。

そんなこんなでT君の家にはたくさんのビックリマンシールがあります。

T君の地域のビックリマン熱は冷めたけども、世の中ブームはまだまだ続く・・・・っという感じ。



兄弟3人としては、ブームも終わったけど、せっかく兄弟3人で集めたものだからまだビックリマンのアニメやってるしっと、大事にしまっておくことにしたのですが・・・・

学校からビックリマンシール禁止のお達しがあった数日後、またあの怪しい大人が現れます。


今度も金が絡みます。

「もう必要ないのだろうから、まとめて10万円で売ってくれないか?」

と、やっぱり近所の子達とサッカーやってたT君兄弟に持ちかけ、上の兄ちゃんが「あれは兄弟3人で集めた宝物だから、売れない」と断ります。


そうしたら、その怪しい大人は急に悪態をついて、「覚悟しろこのガキ!」と言ってその場を立ち去ります。

翌日、T君の家に空き巣が入ったと大騒ぎになります。


玄関のガラスをバールのようなもので割って侵入・ただ、どういう訳か金目のものには目もくれず、まっすぐ子供部屋に行き・・・・・子供部屋は色々ひっくり返したような無茶苦茶ぶりで、大人からみると何が目的なのかよく分からないのだけど、3兄弟は「ビックリマンを売ってくれといったあの大人だ!」とピンときます。

3兄弟は、そのビックリマンおじさんの事を警察に伝えましたが・・・・・


指紋は出たけど警察のデータベースには該当なし・警察もそんなビックリマンでこんなことするとは・・・・っと言う感じで呆れていたそうです。


で、実際のところ、その大人、ビックリマンシールは見つけられなかったようでただの不法侵入と器物損壊で捜査が始まりました・・・・・・




そんなブームの中、隣の県で、強制わいせつで逮捕された男がいて、界隈でちょっとしたニュースになりました。


新聞に写真が載っていた所をT君のお兄さんが見たそうですが、その男が、




あのビックリマンシールを売ってくれと言った男だった



とのこと。




しかも、わいせつ行為を働いたのが、T君と同じ小学校2年生の少年だったという訳で。

あの男の「覚悟しろ」ということはこういうことだったのかもしれないと、T君は言っていました。




なんにしろ、これで一件落着・T君宅の不法侵入・器物損壊の件でも聴取されると思われました。










捜査が進むうち、T君の家から出た指紋と、この男の指紋は一致しないことが判明。

他にも特に残された証拠品のようなものもなく、T君宅の事件は証拠がないのでこれ以上捜査も出来ず、捕まった男も、ビックリマンシールを子供たちから買い取ろうとしていた所までは認めたものの、不法侵入については頑なに否定。そもそも侵入想定時間についてはこの男にはアリバイがある・結局T君の家に侵入した者は誰だかわからずじまいだったそうです。

なんだか気持ち悪いから、引っ越しをしようかと話にもなりましたが、T君兄弟の強い希望で引っ越しは無し・しかしお母さんはやっぱり怖かったらしく、お父さんと離婚こそしなかったものの、別居をすることになり、T君兄弟が中学を卒業したら家も引き払ってようやく家族一緒に近所の違う場所で生活することが出来るようになりました。

・・・・・・・・・・・



大人になり、ビックリマンなんてすっかり忘れていた頃・・・・

かつてT君が住んでいた家の近所の友人のお父さんが亡くなられたということを聞き、それなりに仲が良かった&面倒も見てくれたから・・・・っと言う事で、T君兄弟はお通夜に出席しました。


そこで、友人から「49日が終わったら、両親・お兄さんたちも一緒に話がしたい」という事を伝えられます。




そして、49日終了後、友人から

「実はあれ、もう死んでしまったから言うけども、親父がやったんだよ」

っという言葉ともに深々と謝罪されました。

何でも、当時友人の父親は自分の事業が大ピンチでお金が無く、言うならば子供にビックリマンチョコを買ってあげる金もなかった状態・一人子供に我慢させるのが不憫で事に及んだと思われます。

結局その時はビックリマンシールを発見できず、良心の呵責があったのか、父親は人が変わったように仕事に取り組み、事業もなんとかV字回復させて近隣でも有数の資産家となりました。

以後、特にT君家族の事は気にかけていたようで、T君の親父さんとは気が合う(っというより、過去の経緯があって合わせていた)と言ってよく一緒に飲んでいた(お金は、亡くなった父親がほとんど持っていたとの事)わけで。


T君兄弟は終わってしまった事だからっとなんとも思わなかったのだけど、








ご両親は







怒髪天。







そりゃ怒るわ。







何も悪いことをしていないのに、








たかだか子供向けシールのために勝手に家に侵入され、









家庭崩壊寸前まで追い込まれ、









その後何食わぬ顔で、何度も一緒に酒飲んでいたのだから。








かなりすったもんだして裁判手前まで行ったそうですが(刑事は時効なんで民事で)、なんとか収まったそうです。





あいつ、死んじまった親父が勝手にやった事なんだから、黙っとけば良かったのになあ

っと言った一番上のお兄さんが一番冷静であり

それは彼の良心が許さなかったんだと思うよ。まあ良いじゃないか。

っと言った2番目のお兄さんが一番優しく


T君はそんな二人の考えを聞いたら、怒る気もなくなり、ただ




世の中、隣人が一番怖い



っと悟ったそうです。







そんなビックリマン、現在復刻版が出ています。











今の時代の今回は闇市場がありそうだと思ったのは私だけでしょうか。






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