フェイクあり。
友人のJ君の実家は結構な山奥。
山奥っても、スキー場が近く、小さいながらも温泉宿もあり、人の往来がないわけでもないので、隔離された村って訳でもないし、少し走れば街にも出れるってことで、J君自体は田舎臭のする人でもなかった。
一緒に行ったことはないのだけど、出身地が豪雪地域と言うだけあって、彼はスキーが大変上手らしく、楽器弾いてなきゃスキーの大回転の選手目指してたって言ってました。
そんな彼の身に起こった怖い話。
(彼の話を元にして、読みやすいように再構築。今から20年ほど前の出来事)
J君の実家付近には、大きな池があって、子供の頃には絶対近づくなときつく言われたそうです。
そこには古く小さな社があって、「そこに近寄ると神隠しに会う・場所は集落から入る獣道をずっと行った池のほとりにあるが絶対に行ってはいけない」って言うのが子供の頃に言われたお約束だったそうで。
そもそも、山奥の結構広い雑木林の中にあるような社だったので、用事があっても近寄りたくない場所だったそうですが・・・・・
しかし、当時J君のお兄さんがサバゲーに嵌まっていて、そんな雑木林は格好のスポット・高校2年生の頃には、お兄さんとその仲間と一緒にその雑木林に何度も入っていくようになりました。
そんなある日、いつものように、お兄さんに誘われてサバゲーするために雑木林に入っていきました。
「そう言えば、社があるんだったよな・・・」 子供の頃、何度も神隠しに会うと言われた社の事を思い出し、怖いもの見たさで無性に社に行ってみたくなりました。
一人で行くのは場所もよく分からないし怖かったので、お兄さんにその事を話してみたところ、 「辞めとけ」 と青い顔されたため、その日は諦めました。
理由を聞いたところ、どうやらそれは社ではなく、昔から建ってるあばら家で、変な人が寝泊まりしてるから、危ないとのこと。
お兄さんはサバゲーをやり始めたころ、誤ってそのあばら家の前まで来てしまい、斧を持った初老の男に追いかけ回されたそうです。
そうやって聞くと、面白味もなく、行く気もなくなってしまったのですが、少ししてからネットサーフィンをしてみたところ、廃墟マニアのコミュニティを見つけ、面白半分で件の社(あばら家)の事を書き込んでみました。
(ちなみに、20年前は今のようなSNSなんてものはなく、コミュニティを作ろうとした場合は、各種掲示板レンタルするかCGIで動く掲示板を自分でHPスペースに設置してデッドリンクにしておくって方法がよく取られていました。
このコミュニティも例に漏れずあるフリーのレンタル掲示板を使っていて、さらに、あるアウトドア系HPのオープンな掲示板から派生したものなので、どんな人でも自由に行き来できたものでありました。)
すると・・・・ 何人かがその話に食いつき、オフ会をしようと言う話になりました。 J君は不安を覚えたので、お兄さんに相談して止める事にしたんですが、盛り上がってしまったそのコミュニティの勢いを止めることが出来ず、オフ会の日取りが決まり、決行ということになります。
お兄さんもそのコミュニティに入り、自分の身に起こったことを詳細に書き込んだのですが、釣り認定されて取り合ってもらえず、どうにもならなくなってしまいました。
困った二人は、自治会の偉い人や一応近所の交番にも伝えますが、まだ何も起こっていないし、特に犯罪を計画している訳でもない・公有林であり、立ち入り禁止区域でもないから制限できないと取り合ってもらえません。
そもそも神隠しに会うと言う話は、学生運動が盛んだったころ、赤軍があのあたりに潜伏していると言う噂が立ったついでに、実際池もあって危なく、野生動物も徘徊しているからっということで、地元の子供やスキー・湯治を目的とした観光客をそこに寄せ付けないための方便だったと言うことも判明します。
そして、大規模な山狩りが2度ほど行われたのだけど、赤軍らしき人物は存在せず、あばら家は、戦後にたてられた、もう今はいないマタギが使う休憩小屋だそうで、人が生活できるようなものではないとのこと。
特に何か起きるような状況ではないけど、遭難や野生動物の対応だけには気を付けるようと言われ帰されてしまいました。
オフ会当日、せめて遭難だけはさせないようにと、兄弟であばら家の近くまで道案内し、二人で待ちます。
オフ会出席者は4人。
一人は元陸上自衛官と言っていて強そうでしたし、一人は登山経験が豊富でエベレストにも登ったことがある(登頂には成功していない)そうで、その言動からもそれなりに安心できるメンツではありました。
幸い、全員無事に帰ってきたので、ほっと胸を撫で下ろして、家路につきました。
さて、問題はここから。
翌日、報告会と称して、コミュニティではその時の一部始終を語ってみたり、写真をアップしたりと、J君兄弟のビビりぶりもネタにされながら穏やかにレスりあっていました。
「確かに、2年前の新聞とかあるから、誰かがここにいたのは間違いないんだろうね。」
っと誰かがレスをつけたその時でした。
そのレス主と同じHNで、2枚の現地の写真がアップされます。
ちなみに、
そのレス主はオフ会には参加していません。
「誰だよ。俺の名前で投稿すんなよ(苦笑)」
しかしそのレスに特に反応はなく・・・・・・
2枚の現地写真には、遠望で4人があばら家を探索している様子が映し出されていました。
また違う一人が良く分からない事を言います。
「あれ?現地に行ったのは4人って聞いたけど、別にカメラマンでもいたのかい?」
・・・・・・・
????
J君はその写真を再度見てゾッとします。
オフ会参加者は自分たちを除いて4人。
自分たちはあばら屋までは行っていない。
では何故あばら屋にいる4人の写真が撮れるのか。
必ず誰か一人カメラを持っていなくはならないので、写真に写るのは3人までのはず。
つまり、
自分たちの知らない誰かが、自分たちの知らないところで写真を撮っていたということになります。
2枚は別アングルなので、明らかに移動しながら撮っていたか、二つの定点カメラを使って撮ったかどちらか。
しかしどちらにしても
何者かに監視されていたと思われます。
不自然な画像のアップといい、この掲示板の存在まで知っている監視者がいる・・・・・・
そう思ったJ君とお兄さんは足がすくんでしまい、当時流行っていたICQを使ってオフ会参加者と連絡を取り合い、この話はもうやめようと言って話を終わらせました。
そしてさらに、J君にとっては嫌な事が頭をよぎります。
ここのコミュニティ以外の人間で、オフ会の事を知っていたのは、相談に行った自治会でその時応対してくれた数人と、警察(ていうか、近所の交番のお巡りさん)です。
お巡りさんはあばら屋の存在を実は知らず、そんなものがあったのかと驚いていたぐらいだったので、何かできるとしたら自治会の人々です。
つまり、
近所の人の誰かが自分たちを監視していたとしたら・・・・・
そう思ったJ君は、近所の人が怖くなってしまい、某国立大学に合格しなかったら浪人すると決めていたそうですが、家から出れれば何処でもいいっと思うようになり、関東の某大学が受かったのでそこに通うことになりました。
以後、怖くて実家に帰れないそうです。
お兄さんは当時観光業で働いていたのだけど、やっぱり怖くなって退職・たまたま特殊な技能を持っていたそうで(何かは忘れた)東京で働き口が見つかり家を出たそうです。
ちなみに、件の廃墟系のコミュニティには、この件があってから一気に過疎化・数ヶ月後には姿を消していたそうです。
(ただし、その後のSNSの普及もあって、オフ会参加者とはたまに連絡を取り合っているそうです。)
・・・・・・・・
最近、近しい親族の方が亡くなり、久しぶりに嫌々実家に帰ったJ君。
(ちなみに、お兄さんも一緒に帰郷・っというか、「お前が一緒に帰ってくれるなら俺も帰る」「にーちゃんが一緒にいてくれるなら帰る」っという、幼稚園児並の会話をしたと言っていました。
で、やっぱり怖いので、自分でも気持ち悪いぐらいずーっと兄弟一緒にいたと言っていました。)
その際、こんな話を教えてもらったそうです。
「数年前、例のあばら家に、警察の捜査が入った」
「20年ほど前に行方不明になっていた人の事で捜査に進展があり、どうやらあそこで何かが起こった」
「重要参考人で近所のBさんが浮かび上がったのだけど、その時Bさんは余命宣告を受けて入院していたから、結局事情聴取も出来ずに沙汰止みに。」
「Bさんはそのまま死んでしまったので、何のことだったのかよく分からない」
Bさんについては、J君も知っている近所の人で、ちょっと変わったところもあるけど、面白いおじさん・奥さんが早くに亡くなられ、以後独身を貫いていた・当時自治会でJ君の対応をしてくれた人の一人でした。
そして、
猟銃を所持していて、鈍器や刃物の扱いに長けた人でもあり、
その時一番インターネットの話の飲み込みも(圧倒的に)早かったのもBさん(当時はまだインターネットが今ほど普及しておらず、高齢の方へどんなものか説明するのに苦労した)でした。
兄貴が誤ってあばら屋に近づいてしまった時に、他人に見られたくない何かが起こっていたとしたら・・・・・・
Bさんが、何かの事件の関係者・もしくは容疑者そのもので、オフ会で何か見つけられたら困ると思って我々を監視していたとしたら・・・・・
長年の謎が何となく解けたものの、これ以上追求するとまた怖い目に会いそうだからと思い、そしてやっぱり実家に帰る気にはならん怖いから(完全にトラウマ)っと酒飲みながら話してくれました。
どこまで本当か知らんけど(汗
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