26.音楽にまつわる怪談(再掲及び本当の結末)

(消えた文章を再構築してみました)

暑いので、私の友人が体験した怪談を一つ。

実は私も重要人物の一人として登場します。



私は学生の頃、京都の某大学に通っていました。一人暮らししてましたよ。

そんな私の住んでいたアパートの近所にスタジオがオープンしました。

上は賃貸マンション・一階は店舗・地下がスタジオという具合です。

新しいだけあって機材もしっかりしていたし、店員さんの対応もよくて私も好んで使っていたんですが、ある大雨の日に、どうやら手抜き工事があったとのことで浸水し、機材が全部ダメになり、そのまま閉店してしまいました。

営業期間は一年もなかったのかな・・・・・

ちょうど浸水した翌日がそのスタジオに入る日だったのだけど、当時あるバンドのバンマスやってた私のところに「浸水して営業できない」との連絡が入ったり、その後風のうわさで建築会社と裁判がどうのこうのと聞こえてきたり、一時期私の周辺はそのスタジオの話が良く出ました。



しばらく経って、もうそのスタジオの話もみんなしなくなった訳ですが・・・・・


そんなある日の夜、ギタリストの友人から電話がかかってきました。名前は佐藤(仮)とします。

彼は取り乱しており、何を聞いても「ヤバイ、帰りたい」というだけで全く埒が明かない。


聞くと、例のスタジオの近所にいるらしく、一番近所に住んでいる私の所にとりあえず連絡したことだけはわかったので、そのまま放っておくわけにも行かないから彼を迎えに行きました。


私はこの時、人間本当に腰が抜けて動けなくなることがあるのだと知りましたよ。


佐藤は、スタジオのそばにあった喫茶店の看板に隠れるようにして座り込んでおり、立ち上がることもままならない状態。

そして、声をかけても半泣きでよくわからない事をいうので、とりあえず肩を貸して私の部屋に連れて行きました。




部屋に戻った後、缶コーヒーとタバコを彼に与え、幾分落ち着かせて彼の話を聞くことにしました。


彼が言うのには・・・・・・・




佐藤はよく潰れたスタジオを使っていて、たまたま新しく始めたバイト先から帰るのに、そのスタジオの前を通りがかったので、「今はどうなっているのだろう・・・・」と出来心からスタジオのあったフロアに降りていったそうです。


物好きな。



ちょうど鍵がかかっていなかったので(不用心)中に入ってみたそうで。



今思えばただの不法侵入なのは置いといて



暗い中を進んでいった所、彼の前には何やら人型の赤い煙のようなものが立ち込め、奇妙な動きをしていたそうです。




何かヤバイ!




瞬時にそう判断した彼は、急いでスタジオから出ようとした所、どこからともなく声が聞こえたそうです。








許さん




絶対逃さん




殺す






特段彼の言ったことをすべて覚えているわけでもないのだけど、特に印象に残っているのがこの4つ。

確かに、あまり穏やかでない言葉ですね。



彼は完全にパニクってしまい、這うように怪談を駆け上がり急いでスタジオから飛び出し、喫茶店の看板のところで隠れてスタジオの方を見たところ、今度は白い煙のようなものがスタジオに入っていく所を目撃してチェックメイト。


本気で腰が抜けて動けなくなったそうです。



とりあえずまだ怯えていた彼は私の家に泊まることになり、明日はお互い午前中大学の講義がないから、明るい時間帯に見に行こうと言うことにしました。


なんでこいつが男なんだ?と思った事はナイショにしておいて下さい。



そんな翌日、そのスタジオに行ったのだけど、特に変わった所はなく、鍵も閉まっている。


ちなみに、佐藤自身は別に変な奴でもなんでもないですし、嘘をついてまで半泣きで電話してくるのも、誰が何の得になるんだ?と考えれば、とにかく彼の中では真実であったと思わざるを得ませんでした。

何かの思い込みにしては変だ・・・・と彼は言いながら、しかしながらここで考えても解決しないだろうっと私が言って、昼飯食ってお互い大学の講義に出て帰りました。



そうして月日がすぎ・・・・




佐藤と私は無事大学を4年で卒業してそれぞれの道を歩みました。



そんな卒業して何年か経った後、私は京都で旧友達と会う機会があり、佐藤の出会った不思議な出来事を話してみました。ちなみに佐藤はその場にはいませんでしたが、皆顔を知っています。


どこからか、「じゃあ一回見に行ってみようぜ」という声が上がり、みんなでそのスタジオのあったビルに行ってみました。




まあ別段何か変わったことはありません。

地下は手抜き工事にて浸水するということだから未だにどこのテナントも入っていませんでしたが、私の知っているあのビルでした。








しかし









その中にいた一人が不意に「あっ」と声を挙げました。


彼は地元の不動産仲介の会社に採用されて、今は営業として京都中走り回っているようなヤツです。みんなは「よっさん」と呼んでいました。記憶力が良いタイプです。


みんなでよっさんに「どした?」と聞いた所、



「この物件


いわくつきやで。」



と言いました。





なんでも会社の資料に注意物件として写真や概要があった物件だという事です。彼からしてみるとほぼ間違いないといいます。



なんでも、このビルが建つ前に立っていた家で、金銭トラブルから自ら命を断った方がいらっしゃるそうです。

それに関係しているかどうかは謎だけど、特に地下と1Fで不思議な事が起こると言われているとのこと。


だから、佐藤が変な声聞いたり、煙を見たり、もっかするとスタジオが潰れたのも不思議な事の一環だったんじゃないか?といいます。

そして、今建っている建物も、建設時に事故が相次いで、工機ギリギリで建設が完了したという話もあるとか。




さすがに私もこの時ばかりは少し寒気がしましたが、




次のよっさんの言葉には






恐怖を感じました。





「まあ確かに不思議なことが起こるかもしれん


でもな



理屈つけて変だと思わなかったら問題ないねん。







本当に怖いのは心霊とかじゃなくて人そのものかもしれません。




よっさんはケラケラと笑い、皆なんとなく納得し、私は佐藤のあの時の怯えぶりが脳裏をよぎり、「彼だけには黙っておこう」と思い今日に至ります。


なんか連絡取れる奴も少なくなったけど、みんな元気かな~。









っと、最初に作ったものではこのような内容で終わっていますが、本当の後日譚を。私が載せようかどうしようか迷った末やめたものですが、もう良いと思います。






佐藤とよっさんにはしばらく会ってません。


と言うかもう会える状態ではないです。



佐藤はその後、あのスタジオの件がやっぱり引っかかっていたようで、よっさんを連れてあのスタジオの前に行ったようです。おそらく、よっさんから私が例のオカルト話を話した事を聞いたのでしょう。

そして、そこでどういう行動をしたかは知りません。どうして二人で行くことになったのかも。



ただ、結末から言うと、


よっさんはそのスタジオの目の前で車に轢かれ、障害が残って今は介助なしでは生活が出来ない状態になってしまい、それを見た佐藤はどうやらひどい鬱病のような状態になってしまったらしく、今はとある病院に入院してます。





地縛霊の怨念なのでしょうか・・・・















まあ、赤文字の所は釣りですよ。怖くなるように話を作ってみました。最初だけじゃあんまり怖くないでしょ?(笑

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